彼女のことをとても尊敬している。
この春、教室立ち上げから今に至るまでずっと通ってくれていた生徒との別れがあった。
11年間、一度も欠席、遅刻をしなかった。
11年も通っていれば、風邪を引いて休むことくらいありそうなものだが、
ただの一度もなかったのである。
毎週同じ曜日の同じ時間にやって来る。
毎週彼女の顔を見ることがどれほど貴重なことだったのだろうと今更ながら思う。
うちの教室は受験のための教室ではないが、それでも子どもたちの進路は気になる。
彼女が高校に進学するときのことだ。成績だけで見れば、間違いなく県内有数の進学校だった。
しかし、彼女は自宅から一番近い高校を選んだ。理由を聞いてみると、
「通学に時間をかけたくないのです。その時間を読書や勉強、休息に充てたいので」
と、彼女らしい答えが返ってきた。
将来就きたい仕事があったのも大きかったと思う。
そのために今何をしなければならないのかがいつも明確だった。
1月のセンター試験を終えると、志望校をワンランク上げ、
前期だけでなく、中期、後期試験にまできちんと備えた。
後期だと3月半ばまで続く。精神力も相当必要になってくる。
そしてこの春、第一志望の大学に見事合格。一人暮らしを始める。
「住むところはもう決めたの?」
「はい。大学から徒歩5分のところです」
「やっぱり!!」
通学に時間をかけないというポリシーも変わらない。
いつも淡々としていて、それでいて目標をさらりとクリアーしていく。(ように見える)
そういうところ、すごく尊敬している。
もう彼女は私の生徒ではない。
これからは「友」としてよろしく。