作文コンクールに自由研究、読書感想文と春からここまで突っ走って来た。
気づけば、読書感想文も清書を残すのみ。
7月後半、毎年、この時期が待ち遠しい。
出来上がった読書感想文の添削を楽しみにしているのだ。
材料集めや分析、組み立てなど、メモ作りを終えてから、下書き。
ここまではもうフル回転。
次々にやって来る質問に答えたり、手が止まっている子のフォローに走り回り、
息つく暇もない。
駆け抜けた3週間、ようやくじっくり作品と向き合うことができる。
『推し、燃ゆ』
を読んだ中学生の生徒の感想文に手が止まる。
5枚、一気に読んだ。多少の誤字があるくらいで、赤を入れるところがほとんど見当たらない。
そんなことより、内容の深さに感嘆する。
いつの間に物事をこんなに多角的に捉えられるようになったのだろう。
出来事の向こう側にあるものを見てほしい。本質を捉えてほしい。
そういう思いで授業をしてきた。
表面的にでは、その出来事を、目の前のその人を、正確に理解することはできない。
そのためにも様々なジャンルの本を読み、いろいろな人と対話することを授業内で心がけてきた。
私自身が中学生の頃、こんなにも客観的に自分を捉え、物事の本質を見抜く力があっただろうか。
いや、無かったと思う。
素直にすごいと思った。
向こう側にあるものを適確に捉え、自分の見解を明瞭な言葉で記す。
彼女の内に宿ったものがはっきりと見えた。
もうこれだけでも12年間、この教室を続けてきて良かったと思える。
いつも感動をありがとう。