今年度、中高生クラスでは「コミュニケーション」を大きなテーマとしている。

ある生徒が、
話すことで自分が何を考えていたのかわかることもあるよね」
と言った。

その通りで、話すことで考えを整理し書く準備ができるし、
他の人の意見を聴くことで視野が広がる。

中高生クラスは春休み中に1冊の本を課題にした。

『コンビニ人間』
~主人公の古倉恵子は小さいころから変わった子だと周囲に思われていた。
学生時代に始めたコンビニのバイト。36歳になった今もその仕事を続けている。
彼女にとってコンビニは唯一安らげる空間であり、人生の軸でもある。

中高生、特に中学生にはどうなんだろう?と悩んだ末に、選んだ1冊。
新学期早々、この本をお題にコミュニケーションを取った。

この本に余程、興味を持ったのか、ある程度の軸は提示したものの、
私が先導しなくても、グループごとに勝手に盛り上がっていた。

「先生に強制的に読まされたけど、読まされて良かった!
主人公と自分が重なって、今まで一番共感した本やったわぁ」

「働いたことがないから職場のこととかわからんけど、
こういう人間関係って学校でもあるよね~」

「最初は、何この人?怖っ!と思ったけど、
 大多数の生き方に流されない古倉さんがかっこよく見えてきた」

「古倉さんにある種の憧れを抱いた。譲れない何かがある。
人生を懸けられるものがあるって、うらやましいと思う」

などと、耳を澄ますとイキイキとした感想が聴こえてくる。

当初抱いた私の心配をよそに、
保護者の方からも「私も読みました!面白かったです」というメールがたくさん届いた。

人と話すと表情がみるみる変わる。
子どもたちの顔がパッと明るくなったのが印象的だった。

「この教室は私の息抜きの場所なんです」

帰り際、そんなことを言った生徒がいた。

コミュニケーションっていいなと思う。